マルチクラウド時代の人材育成

マルチクラウド時代の人材育成

クラウド、その先へ

今やクラウドが当たり前の時代になり、従来のオンプレミスからクラウドへ置き換えることは新しいことではなくなってきています。

しかし、「クラウド化」はゴールではありません。企業ではクラウド化によるコスト削減や迅速な変化への対応に加え、さらにクラウドの導入効果を最大化していく必要が出てきています。

これらの成果を最大化するために、クラウド化の次の一手を打つ必要があります。その1つがマルチクラウドです。

単一からマルチへ

クラウド化の最初のステップとして、数多くのクラウドの中から、各企業のニーズに一番適したパブリッククラウドを選択することができます。費用さえ払えば、企業はパブリッククラウドを単体でいつでも利用できるのですが、個々のクラウドサービスには、長所と短所、言い方を変えると、強みと弱みがあります。

クラウド化のメリットを最大化するためには、2つ以上のクラウドを組み合わせます。この、2つ以上のパブリッククラウドを組み合わせることを、マルチクラウドと言います。

マルチクラウドの技術者育成は現実的か?

この流れに対応するためには、当然、技術者はさまざまなクラウドサービスを理解する必要があります。世の中には多種多様なクラウドサービスがあり、さらに、従来とは比較にならないほどのスピードでクラウド技術は進化し、変容し、トレンドが目まぐるしく遷移しています。その中で、技術者に必要とされる知識、スキルも文字通り、日々変化しています。

このような状況において、単体のクラウドサービスだけではなく、マルチなクラウドサービスの技術者を育成することは現実的なのでしょうか?

正直、現実的ではないかもしれません。各製品に特化した適切なトレーニングを受講すれば、育成期間を大幅に削減できますが、それでも、単一のクラウドサービスのプロフェッショナルを育成するには1~1.5年、あるいはそれ以上かかります。それを複数のクラウド技術者を育成するとなると、何年かかるかわかりません。そのころには、クラウドがまた別の何かに変化しているかもしれません。

マルチクラウドの技術者育成のアプローチ

マルチクラウドに対応できるプロフェショナル(集団)を育成するには2つのアプローチがあります。

一人がマルチ 複数でマルチ
  1. 1) 一人がマルチのクラウドに対応するプロフェッショナルになる
  2. 2) 異なるクラウドの各プロフェッショナルが複数人集まってチームを作る

どちらがよいでしょうか? 実は、両方ともそれだけではNGです。2つのアプローチを組み合わせる必要があります。

クラウド技術者の育成

順を追って説明しましょう。
まず、マルチクラウド人材の育成の話の前に、クラウド技術者を育成するステップを確認しましょう。クラウド技術者の育成は、3ステップです。

クラウド技術者育成の3ステップクラウド技術者育成の3ステップ

クラウド人材の育成では、前提スキルとしてインフラ技術は必要か?という議論が時々なされます。その答えはそのサービスがIaaSか、PaaSか、SaaSかによって回答は大きく変わります。そもそも、クラウド技術自体の知識、スキル修得に加え、日々追加やアップデートがなされる関連サービスのキャッチアップに時間を使いたいため、前提スキルの習得は最低限で済ませたいものです。細かいことを言い始めるときりがないですが、ざっくりいうと、そのサービスが提供されるその一つ下のサービスに関する知識、サービスは必要です。

IaaS/PaaS/SaaS活用のために必要なスキルIaaS/PaaS/SaaS活用のために必要なスキル

たとえば、PaaSでは、ネットワーク、サーバーに加え、OS、ミドルウェアやランタイムが提供され、利用者はその準備をする必要がないため、その上のアプリケーション開発に専念できるのですが、ミドルウェアやランタイムについては知っておく必要があります。しかしサーバーや仮想化については、かならずしも知らなくても問題ありません。

また、たとえば、SaaSの代表的なサービスであるOffice 365を利用する場合、ソフトウェアより下の層は知らなくてもサービスの利用はできます。 しかし、ユーザー管理をする場合には、OSの機能であるAD(Active Directory)と連携をするため、そのスキルは必須となります。このように、サービスが利用しているサービスがある場合には、その知識・スキルも必要となります。

さらに、そのサービスメリット、強みをできるだけ客観的に把握することはもちろんですが、弱みについても把握しておく必要があります。

最初に記載した3ステップをもう少し掘り下げてまとめてみましょう。クラウド技術者には、オンプレミスとは異なりフルスタックの知識・スキルは必要ありませんが、以下の点での育成が必要です。

  • 最低限1つ下の層にいての知識・スキルを修得する
  • コアとなるサービス自体と、そのサービスが利用する知識・スキルを修得する
  • そのサービスの強み・弱みを把握する

マルチクラウド技術者の育成

マルチクラウドに対応できる技術者集団を作るためには、まず主要な異なる技術をコアとするチーム体制を作ります。

複数でマルチ

そして、そのチームを構成する技術者の育成は次の3つのステップで育成します。

マルチクラウド人材育成の3ステップマルチクラウド人材育成の3ステップ

最初のステップ「コアを作る」では、既存のスキルをいかして、企業として、技術者として、コアとなるクラウドを作ります。先程紹介した「クラウド技術者の育成」で記載した3つのステップで育成します。

そこで紹介した3番目のステップであるサービスの強みだけでなく、弱みも知るということが、実はマルチクラウド人材育成ステップの2番目の「コア以外の他のクラウドを知る」につながります。

そして、補完すべき他のサービスが見つかったら、それを組み込むのが3番目のステップです。ただ、この時、一人の技術者がすべてを行う必要はありません。チームとしてマルチクラウド技術者集団を実現しているのであれば、チーム内で連携したい技術者と連携し、結果として、マルチクラウドのシステムを設計、構築、開発することができればよいのです。

まとめ

すべてのクラウドサービスを1人の技術者が完全に理解するのではなく、コア(柱)をもつ技術者を育成します。

一人がマルチ マルチがマルチ

そして、さまざまなコアを持つ技術者でチームを作り、チームとして、マルチクラウド対応を実現します。ただ、コアのみがわかる技術者集団ではなく、+αのクラウドを知るマルチクラウド風の人材を育成しておくことが、個人としても企業としても成功するポイントだと考えます。

マルチクラウドを実現するために必要な技術者像マルチクラウドを実現するために必要な技術者像

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