T氏のすべらないコラム

シンスブーム

2018年2月

広辞苑の第七版が出た。改訂は10年ぶりで、「ブラック企業」「スマホ」といった言葉が追加されている。「朝ドラ」「お姫様抱っこ」も初の広辞苑入りを果たしたが、これなど10年前に入っていても違和感はなかったのではないだろうか。その10年前の第六版で広辞苑入りを果たした言葉の一つに、イラストレーターみうらじゅん氏造語の「マイブーム」がある。この言葉は1997年の新語・流行語大賞でトップテン入り、誕生後10年で広辞苑入りを果たしているから、新語界のエリート街道を歩んだといっていい。みうら氏の造語ということはもちろん和製英語で、英語で my boom と言っても通じない。そんなみうら氏の最近の「マイブーム」は「シンス」だという。中学英語で習う現在完了形でおなじみの 'since' が書かれたロゴや店舗入口を写真に撮るのが「マイブーム」ということだ。確かに since あるいは SINCE の後に誕生年を記しているのを目にすることは多い。

TVアニメ「ルパン三世」の PART 5 放映が決まった。TVアニメとしてはsince 1971、原作漫画まで入れると since 1967 だ。大人向けアニメとしてスタートした第一シリーズは、1966年公開の映画「おしゃれ泥棒」を想起させる内容だった(原作漫画の since 1967 と符合する)。「おしゃれ泥棒」は贋作芸術家の父を持つオードリー・ヘップバーン演じる娘が科学的鑑定を受けることになった父の作品を美術館から盗み出す(鑑定されると贋作だとばれるので)というストーリーだが、 コメディ的要素が強く、「贋作は犯罪だからやめて」という娘に父が "Don't you know that in his lifetime Van Gogh only sold one painting? While I, in loving memory of his tragic genius, have already sold two." 「ゴッホの絵が生前1枚しか売れなかったことを知らないのか? 私の方は、この悲劇の天才を偲んで、もう2枚も売った」などというしゃれた返しがちりばめられている。in loving memory of は「故人を偲んで」という意味だが、この台詞の場合「この悲劇の天才へのオマージュとして」とでも訳した方がよさそうだ。オマージュは元々仏語で「尊敬」といった意味だが、名作と似たアプローチで創作する際によく使われるからだ。

落語協会では新作落語を一般から毎年募集しているが、一昨年の優秀作は「カラオケ刑務所」という作品だった。これは落語好きなら誰しも春風亭柳昇(故人)作「カラオケ病院」を想起する題名というわけで、審査会当日うるさ型の師匠連中からは「何でえ、柳昇師匠のパクリじゃねえか」という声が上がった。それを見越してか原稿の冒頭にはこう記されていたそうな――「この作品は春風亭柳昇師匠へのオマージュです」。

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クイズ

今月のクイズ(正解は4月号に掲載)

  1. 実写版映画「ルパン三世」で峰不二子を演じた女優が、その4年前に別のアニメの実写版映画で演じたヒロインの名前は?
  2. In Loving Memory of our Princess と、一昨年末亡くなった女優を偲ぶエンドロールを出した昨年末公開の映画は?
  3. 「カラオケ病院」を現在演じている春風亭柳昇の弟子といえば?

10月のクイズ正解

  1. カンカン
  2. 仮面の忍者 赤影
  3. ジョージ・ワシントン

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