概況報告

「サムスンのグローバル人材育成のカギ~外国語能力の評価と向上施策~」レポート

ビジネスを国際的に推進している企業にとって、グローバル人材の育成が急務となってきています。本講演では、グローバル企業として成功をおさめている韓国の代表的な企業であるサムスングループにおいて、グローバル人材育成のカギとなる英語能力の評価と向上施策の実例について、サムスングループの教育専門会社であるCREDU社からご講演いただきました。

セミナー概要

開催日:
2013年2月26日(火) 13:00~15:00、16:00~18:00
※各回のセミナー内容は同じです
2013年2月27日(水) 9:00~12:00
※セミナー+英語スピーキングテスト体験・評価
会場:
サンシャイン5ビル 3階(田町駅前)<OPIcテストセンター>

■講演者のご紹介

イ・ジファン 氏
(株)CREDU ※サムスングループの教育専門会社です。
戦略事業部OPIcグループ長
イ・ジファン氏

講演趣旨

サムスンの英語能力評価ツールとして導入されたのが、「OPIc」(OPIc:全米外国語教育協会ACTFLが開発したグローバルスタンダードとして定着している英語によるコミュニケーション能力を判定するインターネットを利用したスピーキングテスト)。

サムスングループで、このOPIcを使って、英語公用化の目標レベル・段階別の推進現況を詳細に管理しながら、成果を測定できる定量化した評価基準を用い、段階的に英語公用化を進め、グローバル競争力の強化につなげて行った経緯を約1時間30分にわたって詳細にご紹介いただきました。

また、OPIcを使った英語コミュニケーション能力の評価だけではなく、具体的な能力向上施策、外国語BPO(Business Process Outsourcing)の活用についての提言もいただき、サムスングループにおけるグローバル人材育成のカギとなった貴重な事例を披露していただきました。

CONTENTS(講演時間:1時間30分)

  1. 会社の紹介
  2. サムスンの外国語評価制度
  3. 外国語評価によるグローバル競争力の向上
  4. 英語スピーキングテストの体験(※2月27日(水)開催のみ:1時間)

主な質疑応答

Q1.英語力の向上のために合宿スタイル以外に学習方法はあるのか?
A1. 合宿はもっとも効率的だが、コストの問題もあり、全員参加は難しい。外国語BPOサービスなどを使って、評価の上、集合研修、eラーニング研修を活用していくことをおすすめします。
Q2.英語公用語化のポイントは?
A2. 会社の中の業務すべてを英語化するのは失敗の可能性が高くなる。少なくとも、外国人が会社に入ってきたときにコミュニケーションができないというのは、あってはならないこと。そのために、英語でのコミュニケーションレベルで問題が無いようにしておかなければならない。そのためには、適用の範囲を限定して、徐々に広げていくことが必要であるが、韓国人同士であれば、韓国語でコミュニケーションをとるのが効率的である。
Q3.TOEIC S/W、TOEFLとの違いは?
A3. TOEFLは米国留学する人向けで、学術的内容のため、性格が異なる。
TOEIC S/Wとは採点の方法と問題の構成が異なる。OPIcはホリスティックな評価をしているため、暗記してきた問題だけにうまく話ができても、高評価につながらないため、本当のコミュニケーション能力を測定することが可能。TOEIC S/Wはアイテムごとに採点するという形式。また、OPIcは40分とTOEIC S/Wの2倍の時間を話すことが可能。
Q4.韓国でのOPIcの受験者数、韓国以外のOPIcの普及について?
A4. 韓国では、今年35万人~40万人の予想。全世界40カ国以上で実績がある。OPI、OPIcに使われているACTFL基準はさまざまところで使われている。
Q5.学習コンテンツについて
A5. (1)対策ではなく、OPIcに慣れるコンテンツが必要。
(2)日本ではコンテンツが少ないが、英会話を上達させるようなコンテンツが良い。
(3)普段のコミュニケーション能力を測定するため、言葉だけでなく論理的に話すことが求められる。
Q6.TOEICのようなマークシート方式ではないOPIcの採点方法は?
A6. 正解、不正解ということで評価を行っていない。どのくらいのコミュニケーション能力をもっているか測定するためには、採点の評価者(レイター)を育成していくことが大切。
Q7.効率的な学習方法について
A7. 語学の勉強に王道はないため、一つの学習方法に絞ることはできない。ヒントとしては、最初のころはいろんな話題について話す訓練が必要。勉強が進んできたら、起承転結といった論理的な学習方法を取り入れると良い。
Q8.英会話が必要な人は限られると思うが、なぜスピーキング能力に限定したのか?
A8. 読めないと話せない、聴けないと話せないというのが通常。OPIcが一定レベルに達していれば、聴ける、読めると判断したから。
Q9.初級レベルの社員の底上げについて教えて欲しい。
A9. 基礎力が重要。スピーキングといっても質問を聴いて応えることが必要なため、リスニング力を鍛えることが必要である。また、時制など文法も大切でさまざまな角度から勉強する必要がある。中級レベルになったら、論理的な話し方を鍛えると良い。
Q10.グローバル研修に選抜される人たちの属性は語学能力の高い人たち?
A10. 必ずしも語学力の高い人たちだけではない。語学力が低くても業務能力が高い人たちを選抜している。
Q11.TOEICからOPIcへの移行の際のデメリットは?
A11. 特にない。

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