コンサルタントの本音

◆全員に教育するとは

2017年2月

「○○について社員全員に教育せよ」という社長の指示で、研修を行うケースがある。あまり考えていないスタッフだと、社長の指示だからと特別予算をもらい、全員に対してある一定期間研修を行い、アンケートを取って好評でしたと報告して終わり。研修後に何も変化や進歩がなく、社長は研修だけではだめだと悟る。

少し考えているスタッフだと、全員が研修後にどのような状態になっていることが必要かを考える。そこで、受講者に研修後何をしますかと問いかける。すると優秀な人材は、研修後行動に移す。しかし社長が望んでいるほどの広がりがない。

もう少し考えているスタッフは、研修後に宿題を課し、フォローし、最終報告会を設ける。ある程度の比率で活動が行われる。しかし、長続きしない。

さらに深く考えるスタッフは、社長が社員全員に対してどのような意識変容、行動変容を期待しているのかを考える。すると研修だけでは限界があることを悟る。そこで例えば、社長の社員への期待を語る、期待通りの行動をした人を評価する制度を取り入れる、部下の行動変容のレベルが上司の評価になり、上司が部下の行動変容を支援するような制度・プロセスにする、といったさまざまな取り組みとの関連の中で初めて研修が生きてくることを理解する。他部門に対して協力を要請し、全体最適で行動変容がおこるような環境を作るのである。

同じように深く考えて違う行動をするスタッフもいる。社長に、「まずは社長と幹部だけで勉強し、理解し行動しましょう。」と提言する。自ら理解もせず、実践していないものを部下にだけ期待して押し付けても効果は期待できないと考えての提言だ。

人作りが大事だといいながら、そこまで時間を割かない幹部がいるが、本当に人作りをするつもりなのだろうか。研修を継続的に行えば、必ずメンバーの成長につながる。しかしそれがいつ成果に繋がるかは個別にバラバラである。経営者は一定の時期に適切な成果を出さなければならない。その時にもっとも確実なのは、自らが伝えることである。そして、それにこだわって社員の行動を見続け、おかしいと思ったらフォローすることである。研修と幹部の観察・フォローを絡めることが効果的ではないだろうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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