コンサルタントの本音

◆価値あるプロジェクトにするために

2014年11月

「プロジェクト計画段階でのメンバーの合意形成の仕方やプロセスの修正能力に問題があるかもしれない。」旧NEC C&Cイノベーション推進本部が主要な日本企業20社の調査を基に生み出した仮説である。プロジェクトでは最初に目的、目標、方法、納期、リソースなどをチャーターとして記入し、プロジェクトの範囲やゴールなどを明確にすることが求められている。通常、プロジェクトリーダーはその内容をプロジェクトオーナーに説明して了解を得るだけではなく、プロジェクトメンバーにも説明して合意を得る。

調査では、プロジェクトのスケジュールも含めた全体像をメンバーに説明はしているものの、実際にはメンバーの一部が合意事項と異なる行動を取るケースが比較的多くみられることがわかった。丁寧にコミュニケーションを取らなかったがゆえに合意通りに行動してもらえないケースは論外として、プロジェクト推進におけるコミュニケーションを十分に行い、メンバーの合意を得て推進したとしても何らかの理由で行動が意図通りにならないケースがある。プロジェクトではアウトプットやステップ毎のアクションアイテムや納期などは明確になっている。がしかし、そもそも何のために行うのか、最終的に目指す価値は何なのか、などについては抽象的な表現でしか説明されておらず、メンバー間で合意されていないというケースがあるのではないか。

調査では、プロジェクトの進め方やそれに関わる情報共有や意思決定のやり方など、プロセスを途中で修正することはないという結果が出ている。最初に合意が取れておらず、途中の段階でも修正されないとなると、最後まで問題のあるプロセスのままで結果を出さなければならない。特にメンバーが自分の解釈で仕事をしてしまうと、そのプロジェクトは非常に難しいものになる。

現在は、新規事業開発、新製品開発、コスト改革など企業の重要なものは基本的にプロジェクトで行われている。多くの場合、計画通りには進まない。状況に応じて打ち手を変え、やり方も変えていくことが重要である。やり方を変えるにはアイデアが必要である。新しい方法を貪欲に吸収しようという姿勢がないと、同じやり方をずっと踏襲することになる。方法論ばかりを追いかけるのは論外であるが、既存の方法ばかりを使っていると、プロセスの修正能力が身につかない。新しい方法でなくても良い、知っていても使ったことのないものでもいい。最近、「自分にとって新しい」と言える方法論に触れているかどうか、ぜひ確かめてみてほしい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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