新人くんが行く

新人くん、大切な思い出を手に入れる

本コラムでは、あるIT企業に就職した新入社員とその指導役である先輩社員のやり取りを通して、スキル修得に向けたアドバイスや研修受講にのぞむ姿勢を紹介します。ここでは架空の会社ならびに人物をモデルとしています。

2018年9月

プロジェクトの定例会に向かいながら、田所さんが話しかけてきた。

「新人くん、新人研修で議事録の書き方は学んだよね。言い忘れてたけど、今日から定例会の議事録作成をお願いします。研修と違って、さまざまな用語が飛び交って初めは大変だろうけど、しっかり作成してください。わからないところは教えるので、それがわかるようにしておいください。」

「そうそう、きちんと議事録を残さないと、言った言わないでもめることもあるから、責任重大だよ。」
いつもながらのプレッシャーだ。緊張MAX。

定例会が始まると、まずは新規メンバの紹介で挨拶をした。挨拶のあと間髪をいれず、田所さんが「期待の新人なんで、かわいがってください。」と茶々をいれてきた。(笑)

定例会のアジェンダは、各パートの進捗報告、問題・課題の共有、次回に向けての作業確認だった。

定例会後、田所さんは、今日中に議事録を仕上げて見せてほしい、と言って去っていった。職場に戻って、新人研修のテキストを参考に作成してみた。ほぼ終わりかけたころ、田所さんが戻ってきたので、あわてて仕上げて印刷して渡した。すると、しばらくして、真っ赤になった用紙が戻ってきた。
「会議の流れにしたがって記述しているのはいいとして、全体の構成が見づらい。5W1Hを意識して簡潔に記載しないと、読む気が起きないよ。」
「赤入れしたから、作り直して再提出して。」

真っ赤になった用紙のほかに、もう一枚渡された。その一枚は、田所さんが書いたものだった。自分が書いたものと全然違う。何が違うんだ?

赤入れのメッセージと田所さんが作った議事録を合わせてみると、違いが見えてきた。そして、新人研修の時に先生が言っていたことを思い出した。
「読み手を意識して、その人が理解できるように簡潔にまとめること。」
そうだ。これが抜けていた。今回はPJメンバーで共有するものだから、それをしっかりと意識する必要があった。

早速、作成し直して、田所さんに提出した。しばらくすると、また赤入れされたものが戻ってきた。ただ、指摘個所はずいぶん少なくなっていた。

「少しコツがわかった?多少、稚拙な言い回しがあったので、そこだけ直しておいた。それを直したら、PJのメンバーにメールしてください。」

そう言い終えると、さらにもう一枚の紙を見せてくれた。それは、真っ赤に赤入れされたものだった。
「これは、私が初めてPJに参加した時に作成した一番初めの議事録だよ。今の部長に見てもらった結果が、こんな感じだった。新人くんと同じだね。」
少し照れ気味に
「これは、宝物なんだよね。今でも机の引出しに入れてる。」
そういって机に戻ると、引出しに戻していた。

田所さんにも、当たり前だけど新人時代があって、今の自分と同じ境遇で、似たような経験をしていたんだよなぁ。ますます親近感が増してきた。

今日は、思い出に残る一日だったし、大きな収穫を得たと感じた。田所さんが書いてくれた紙はしっかりとっておこう。そして、田所さんみたいに、後輩に見せて、いつの時代も新人はみんな同じだということを伝えてあげよう。

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