コンサルタントの本音

進化と退化

2018年1月

世の中にあるのは変化のみ。安定はない。安定に見えるのは、絶えず進化し、世の中の変化と同じスピードで前に進んでいるからである。何もしないでいるのは安定ではなく退化。

環境が変わり、自分も変わる必要があるとシステム(例えば、生物とかも一つのシステム)が気づくとき、システムは自己矛盾がないように変化する。自らは何者か、自分の強みは何か、何を達成しようとしているのか、このような自らの軸を否定してしまうような変化は自己矛盾を起してしまう。それらは変化していても退化と呼ばれることになる。

よく見られるのが、自らの軸を考え抜かずに、変化に対応しようとして組織を頻繁に変えること。あるいは新しい顧客や新しい事業はないかと駆けずり回るようなこと。これらは、進化になりえていない。うまくいかない組織はそのようなパターンを繰り返す。パターンを繰り返すことに気付いていても対処できない。

デミング博士は、人が失敗するのは人格形成の時期に、学校で目上の人である先生を喜ばせることで褒められる、評価されるといった体験に埋め込まれた思考様式のためだと語った。社長に褒められる、上司に評価されることを最優先と考える人が普通だということ。しかしこの集団は、自分の軸は誰かから示されるという受け身になりがちである。自ら変化を感じ、進化することが難しい。進化のためには思考様式を離れ、自ら自分の軸を考え抜くことが大切だ。

中年になると自分の軸ともいうべきアイデンティティに悩むことが多いようだが、多忙な中ではそれも難しい。しかも、自分の軸を考えていても変化を感じるには、自分も変わる必要があると判断できるような情報収集と解釈能力を高めることが必要である。情報の中には、取るに足らないと思われる情報や、組織の中の小さな声に気づけるようにすることが大切かもしれない。人は自分の仮説が正しいと思う情報ばかりを集める。だから変化の兆しの情報を、自分の仮説にあっていないと、取るに足らないと評価してしまう。それが退化につながることをわきまえておかなければならない。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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