コンサルタントの本音

エンゲージメント

2017年11月

ポジティブ心理学で有名なセリグマン教授は、幸福についてウェルビーイングという言葉を使って以下のような話をしている。
「ポジティブな感情だけではウェルビーイングにはなれない。ウェルビーイングは、ポジティブな感情以外にも、人間関係、大きな目的を果たすことから生まれる充実感、短期的・長期的両面での目標達成、エンゲージメントから成り立っている。」

この中ではエンゲージメントという言葉がわかりにくい。没入と訳されることもあるが、正直まだ定義も定まっていないようだが、約束とか誓約という意味が含まれていることから想像すると、組織と個人の関係におけるエンゲージメントとは、組織の中で自らの持てる能力以上のものを発揮するべく自らの時間や知識・ノウハウを投資しようとするマインドを持ち、組織や仲間もそれを支援することで、組織と個人が一体となって双方の成長に貢献しあうような絆が構築できている状態のことをエンゲージメントが高いと言っているようである。

自分の成長、仲間への気遣い、いつも一期一会で1日1日を自らの能力以上の目標にフルパワーで(苦しくなく)チャレンジしている状態のことを表すフロー状態と比較的似ている定義になるのかもしれない。

最近では、従業員のエンゲージメントの程度を測定することが重要であるという意見が見られるようになった。経営を評価するプログラムである日本経営品質賞やさまざまな経営を評価する基準の中で、従業員の現状を把握するという視点が含まれており、多くの組織で従業員満足度を活用している。

しかし、従業員満足(ES)という言葉が誤解を生んでいるケースがある。例えば、不満を解消して満足度を高めても満足してしまうと何もチャレンジしなくなったりする。それは現状の給料や仕事に満足することを目標としているからである。本来、ビジョンや夢に向かっている人は現状に甘んじることなどない。また、今の給料の不満だけで仕事を見ていない。将来の夢の達成や高い処遇、より大きな仕事へのチャレンジに向けて、今は自分の時間を投資している感覚なのではないだろうか。

ES調査でエンゲージメントやウェルビーイングの調査を行ってはどうだろうか。
例えば、
あなたは毎日、顧客のために自らの能力を超えてでも対応したいと思って仕事をしていますか?
あなたは、顧客のみならず、たとえ考え方が違っても組織の仲間を気遣っていますか?
あなたは、組織や組織の仲間から十分なサポートを受けていると感じますか?
あなたは、チームで仕事をすることで自分の能力以上の成果を出していると感じていますか?
といったことを確認する。

すでに組織開発の研修を活用した組織変革を進めている企業では、こちらの調査の方が成果を確認しやすい。また、今後、組織変革をめざして研修を組み立てるのであれば、同時にエンゲージメント調査なども実行していくと効果的である。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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