コンサルタントの本音

リーダーシップ研修

2017年2月

経営者になるためにはリーダーシップが必要である。リーダーシップにはビジョンが必要である。ビジョンを共有するためにはコミュニケーションのスキルを高めることが必要である。コミュニケーションのスキル向上を目的とした研修については種類や数も多く充実しているが、リーダーシップ研修で足りないのは、ビジョンを生み出すプロセスを考える能力を開発するカリキュラムではないだろうか。世の中の趨勢を理解し、自らの存在意義や強みを基にビジョンを作成するというプロセスは、言うのは簡単だが実際には陳腐な内容になるケースが多い。

世の中の趨勢を理解すると簡単に言うが、さまざまなことが日々、時空を超えて起きている。どのような事実に着目し、その事実は今後のどのような流れの兆しなのかを考え、これからの世の中のトレンドについて仮説を立てられるようになるには訓練が必要である。なぜなら人は事実を無意識に取捨選択しているし、自分の関心事しか情報は入らないし、自分の都合のよいようにしか解釈できないからである。したがって、世の中の趨勢を読み解くには、自分とは全く立場の異なる人が持っている情報や意味解釈に意識して耳を傾ける努力をしなければならない。これがいわゆる「あらゆることに関心を持つ」とか、「現地現物・現場百回」といった行動を意図的に行う目的の一つなのである。

特に現場での体験や他の人の言葉に耳を傾けることに加えて、その背景にある感情を目や鼻、肌で感覚として感じる取ることからくる事実の発見や新たな解釈が非常に重要である。ビジョンの作成は、自らの存在意義や強み、経験を踏まえて考えていくケースが多いが、これからどのような存在になり、どのような強みを持ちたいのかも合わせて考えることも行った方が良い。

そして、積極的に対話をすることである。自分の事実認識、解釈を、話し合いを通じて他のメンバーに明らかにすることで理解してもらい、逆に他のメンバーの事実、解釈を、よく聞いて咀嚼し、理解を深めていく。そして本当に自分は何をしたいのだろうかを自分自身と対話することを通じて練り上げていくのがビジョンの作成プロセスにおいて重要ではないだろうか。当然、さまざまなインプットも意識して進めていく必要もある。

こうしたリーダーシップ研修はまだまだ少ないが、少し時間とお金をかけて、将来のリーダーに徹底的にビジョンをストーリーで語れるように育ててはどうだろうか。ビジョンの力がイノベーションを生むことを信じて。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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