コンサルタントの本音

◆顧客満足度調査の使い方

2016年1月

顧客満足度調査を実施している企業は数多くあるが、その活用目的が不明確だったり、調査結果を有効に活用していないケースが未だ多く見られる。例えば、(1)満足度調査の結果を部門に「参考にしてください」と資料を配付して終わりにしているケース、(2)満足度の前年度比較結果をトップに報告して終わりにしているケースなどである。

顧客満足度調査は、その実施目的を明確にしておかないと実施する価値はない。(1)のケースでは、おそらく不満の解決しか期待できない。しかしながら調査後、結果を基にさらにヒアリングしたり、行動観察などを通じて不満の背景を理解したりするなど深掘りすることによって、その不満の背景にあるニーズや課題に気づき、新規のサービスや事業につなげていくことができるかもしれない。配付された資料だけで毎回出てくる不満に対し、対応することが当たり前のように言われるだけでは、現場もたまったものではないだろう。(2)のケースは、前年度との比較において現状を認識することにはなるが、ではその後どうすればいいのかがわからない。改善結果を調査の質問として組み込み、それは認知されたのか、それはどう評価され、総合的に満足度がどう向上したのかをきちんと分析しないと意味がない。つまり、単純な合計値の前年比較から得られる情報は少なく、ひとつひとつを読み解き、その総計として理解しないと、何をどう変えて行くべきなのかが見えてこないのである。何の解決も新たな取り組みもせず、顧客からアンケートを取ることだけを続けていると信頼感が無くなる。顧客満足度調査を改善に活用する意思が社長にないことが顧客から見透かされてしまう。

定量的に分析することも必要であるが、顧客の重要な要求が本当に自分の理解とあっているのかといったことを客観的に分析するような意図がなければ、調査結果も豚に真珠のようなもの。「5段階評価が良い」とか「自由記述を増やす」等の手法的なことを考える前に、自社の戦略を実現するために、顧客のどのような情報が不足しているのかを考え、その目的に対して何をするのかを考えることが肝要である。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ページの先頭へ戻る