コンサルタントの本音

◆本当にマーケティング研修は活かされているのか

2013年11月

日本ではマーケティングというと消費財マーケティングのことと捉えられ、産業財のビジネスをしている経営者は必ずしもマーケティングを重視していない印象を持つ。どうもそれは日本だけの現象ではないようだ。アメリカの著名なマーケティングコンサルタント、アル・ライズは、「経営者にマーケティングの基礎を教えることに、大半の時間を費やしている」とぼやいている。経営者がどの程度マーケティングを知っているのであろうか。実践して実績を上げた人以外はマーケティングをわかっている経営者は、まずいないと思って間違いない。わかっていないのに生半可な知識でマーケティング強化と言っているケースが多々見られる。

だから戦略やビジネスプランの策定と実行にマーケティングがどのように関与するのかも理解していない。例えばビッグデータ。世の中で着目されてから、ビッグデータのマーケティングをしろ、と指示を出しても正直なところ、出遅れ感は否めない。技術的な変遷、顧客の潜在的な期待からどうも新たなビジネスができそうだと仮説を立て、ビッグデータの時代が来ると提案し、用意周到にそのソリューションを準備するために資源配分をするのがマーケティングを踏まえた戦略実行ではないか。
こうした企業が準備を整え、最初の顧客から商談を取ったあたりで、「ビッグデータなら○○」というイメージがすでに固められている。実績重視の経営者達は皆、その企業になびいていく。

出遅れた企業に求められるのは、市場をセグメント化し、特定の効用にスポットをあて、「その効用なら○○」という印象を強く顧客に植え付けることである。その効用のためには、うちならではという点をどう顧客のマインドに構築するかが鍵である。こうしたことがビジネスプランや戦略検討で果たして行われているだろうか?製品やサービスでどのように競合他社を上回るのかといった議論しかしていないのではないだろうか。

マーケティングを勉強しても、こうした活動を行っていない事業のトップはマーケティングがわかっていないのと同じことだ。

これは特定の経営者を批判しているわけではない。今までの事業の多くはマーケティングを実践しなくても成長できてきた。GEでさえ、イメルトが社長になるまではマーケティングをしていなかったとハーバードビジネスレビューで述べている。できていなかったことは学べばよい。今までは知識さえ持っていればそれでよかった。しかし、これからは実践しなければならない。知識習得だけでない実践に耐えうる研修が、今必要とされている。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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