T氏のすべらないコラム

◆私のことは嫌いでも・・・

2016年7月

日本で「私のことは嫌いでも-」といえば、「AKBのことは嫌いにならないでください」と続く前田敦子のスピーチが有名だが、英国で "If you don't like me-" といえば、"I won't be here forever." と続くスピーチが有名だ。「私のことは嫌いでも、私はここにずっといるわけではありません」とは、冒頭の発言の翌年にAKB48を'卒業'したマエアツ嬢にこそ相応しい気もするが、こちらの発言をしたのはキャメロン英首相だ。これは2014年9月、スコットランド独立の住民投票直前に同地を訪れた際に行ったもので、"If you don't like this government- it won't last forever. But if you leave the UK- that will be forever." と続く。「ここにずっといるわけではありません」とは「ずっとこの地位(首相)にあるわけではありません」の意で、さらに「わが政府が嫌いでも、永遠に続くわけではありません。しかし、皆さん(スコットランド住民)が英国を去れば、それは永遠のこととなるのです」と訴えたものだ。このスピーチが功を奏したか、3日後に行われた投票でスコットランド独立は否決された。今回のEU離脱の可否を問う国民投票でも "But if you leave the EU-" と変えるだけでそのまま使えそうだが、同じ手は使えず離脱が可決されたのは周知のとおりだ。

今回の国民投票では離脱派を勝利に導いたボリス・ジョンソン前ロンドン市長の "Napoleon, Hitler, various people tried this out, and it ends tragically. The EU is an attempt to do this by different methods." 「ナポレオンやヒトラー、様々な人間が挑んだが、結果は悲惨だ。EUは違った方法でこれをやろうとしている」がよく取り上げられる。武力で欧州統一を目指した両者にEUをなぞらえたものだ。独裁者代表のヒトラーはともかく、ナポレオンは日本では英雄的イメージだが、英国では侵略者扱いで評判がよくない。同じ英語圏でも被害を受けていない米国では違うが・・・。

米国のTVドラマで日本でもおなじみの「奥様は魔女」ではナポレオンが登場する回もあるし、ナポレオンをネタにした洒落が出る回もある。この洒落は英米共通で、英語の親父ギャグとして知られるものだ。「奥様は魔女」ではアーサーおじさんという登場人物がたくさんの風船をピンで割りながら言うのだが、日本語吹き替えでは「チキチキバンバン」と言いながら割っている。これでは何の洒落にもならない。原語(英語)ではアーサーおじさんはまず"Napoleon" と言って間を置いてから風船を割り、"Blown Apart" と叫ぶ。ナポレン・ボナパルト Napoleon Bonaparteにかけた洒落というわけだ。

英国が脱退しても、EUは Blown Apart 「ばらばら」にならないように...。

今月のクイズ(正解は来月号に掲載)

  1. 今年の「AKB48 選抜総選挙」上位16位までがメンバーとなるCDシングルのタイトルは?
  2. キャメロン首相とジョンソン前ロンドン市長がともにオックスフォード大学入学前に卒業した学校は?
  3. ミュージカル映画「チキ・チキ・バン・バン」(Chitty Chitty Bang Bang)の原作者は?

先月のクイズ正解

  1. 野猿
  2. 細野晴臣
  3. シャーリー・マクレーン

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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