コンサルタントの本音

◆サービスの生産性と価値

2016年5月

日本はサービスの生産性が低いと言われている。小規模企業が多く、規模の生産性が効きにくいという面はあるだろうが、日本では価格やサービスにシビアな消費者が多いため、サービスの生産性が低い面も否めない。つまり、価値を提供してもその価値に対して適切な対価を支払うという意識や思考が日本人にあまりないため、売上が高まらずに生産性が低くなるということもあるだろう。

そのための対策はもちろん、差異化要素に価値を認めてもらうことである。製造業もそうなのだが、差異化している内容が価値につながらないケースが多い。他社とは違うが、違うというだけでそこには追加でお金を支払ってもらえないといったことである。また、そこにお金を支払っていただくことの意味、意義をメッセージとして十分に伝えていないケースも多い。価格を安くして忙しく働くというのが身に染みているので、どう値上げするのか、高い価格で買ってもらうためにはどうすればよいのか、といったところに知恵がない。あるいは忙しくて誰もそこを考えていない。また、顧客にカスタマイズして価値を提供しているのに、市場価格以上の価値を見出してもらえないまま売上を維持するために、その状況を続けざるを得ないケースもある。

カスタマイズで価値を認めてもらえないのであれば、標準化してコストを下げるしかない。かつてのマブチモーターのようにカスタムでモーターを作りながら標準のモーターを準備し、顧客側でそれをうまく活用してもらうような工夫が必要である。

さらにいうと、顧客に高い価格で提供するサービスを比較的ローコストで運営するところまで進める意識が必要である。最高級ホテルサービスは本当に優れた設備と優れたサービスを提供しているが、だからといって必ずしも従業員が高い給料をもらっているわけではない。顧客のためを思ってサービスを提供し、顧客に感謝され、会社からリスペクトされることで従業員がモチベーション高くサービスを提供している。

日本ではアルバイトやパートさんがモチベーション高くサービスを提供しているケースが見られる一方で、正社員がモチベーション高く仕事をしているのか疑問なケースが見られる。その差は、オペレーションの責任者や管理職の差である。オペレーション上の問題を自ら対応し、プレーイングマネージャーになってしまってないだろうか。責任者の仕事は、価値を認めてもらうこと、ムダを削減し、標準化を進め、誰もが気持ちよく仕事をしてもらう環境を作ることである。そのために時間を使い成果を出す。そしてそれが評価される。そういう構造を作ることがサービス生産性を高めるポイントになる。

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