コンサルタントの本音

◆社会課題を解決するために学ぶべきこと

2015年11月

社会課題を解くためには、何が課題であるかを情報収集するのに加え、これまでの先達たちがどのように社会課題を解こうとしてきたのかを学ぶことも重要であろう。前回、社会課題を解く事業化には社会貢献活動の実践や体験が有効であると説明した。その実体験は何ものにも代えがたいものである。ただし、グローバルで推進する場合には知的水準を上げる努力が必要である。

例えば、筆者がかつてMITのエグゼクティブエデュケーションのコースに参加した際には、社会課題を解くケースをいくつも読まされ、特定の地域の課題を、事業を進めながらどう解決していくのかをチーム課題として設定された。過去、国際機関やNGOなどがどのような支援を行い、何が成功し、何が失敗したのかといった研究を行っている先生も海外には多くおり、彼らの本や論文に接することでグローバルにおける社会課題解決の事例を学ぶことができる。グローバル企業では当然そうしたことを学んだメンバーが事業を担っているケースも多く、知的レベルで提案に差がつかないように取り組むことが必要であろう。

こうした内容は海外の大学に行かないと学べないわけではない。今では海外の大学の講座が無料でインターネットの動画で提供されている。筆者も医療における社会課題の事業化を検討する際に、密かにジョンズ・ホプキンス大学のHenry Perry先生のHealth for All Through Primary Health Care講座を受講した。動画で見て、次回までの宿題を考え、テストや論文を提出し、単位を取得するものだ。この先生は、厚労省の友人が留学した際に講義を受講した先生だそうで、こういう海外の先生の講座が無料で数多く提供されている。

また、最近、イースト・プレス社からイアン・スマイリー著「貧困を救うテクノロジー」という本が出版された。これはMITで教科書として過去から使われているものだそうだ。こういう本やネットでの学習を通じて、知識や過去の経験を学び、今の社会課題の解き方を学ぶことは事業化に向けても有効に機能するに違いない。

なお、前回の話では読者の方からフィードバックと貴重な情報をいただいた。この場を借りて感謝の気持ちを伝えたい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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