コンサルタントの本音

◆管理職の育成

2015年1月

今年の第91回箱根駅伝で総合優勝した青山学院大学は、かつては優勝候補とは程遠い、箱根駅伝に出場するチームの中では弱小の部類に属していた。
そのチームを優勝に導いた原晋監督は元営業マンで、自身がかつて職場で実践したマネジメント手法を取り入れてチームや選手の課題を解決し、育て上げていったと報道されている。

課題の解決を人材育成に求めるケースは多い。意識が低い、何が問題かわからない、解決策を考えられない、自律的に動けないといった現場をマネジメントするために、管理職の研修が必要であるという要望を時々受ける。私たちはそれを研修という形で解決するか、コンサルテーションという形で解決するか、経営者の要望に合わせて対応している。本来、部下の育成は上司の仕事であるが、マネジメントプロセスを整備すれば自力で解決できることまで外部に委ねているケースが多い。これは管理職の能力不足だけの問題ではなく、経営幹部の経営能力の不足という面も否定できない。

その能力不足の原因の一つとして、現代の経営ではマネジメントしなければならない範囲が広がっている状況がある。競争が激しさを増す中、コンプライアンスの問題、メンタルケア、ハラスメントの問題、ワークライフバランス、多様性の確保といった面もケアしていかなければならない。明らかに以前よりも管理業務は増えている。経営者も管理職も忙しい。

しかし、多忙であっても結果を出さなければならない。結果を出すために多様な能力が求められるのが現代の管理職である。事業戦略遂行能力、問題解決能力、人材育成能力など考えれば足りない能力はたくさんある。しかし、それらの能力を身につけ実践するには時間が必要であり、限られた時間の中でどう対処すべきかを考えた時、最も重要なのはムダなことをやらない意識を持つことであり、本当に必要な業務に絞り込むことが先決である。結果の出ていない組織は、徒に会議を増やし、仕事を増やしているケースが多い。余計なことをしない、やるべきことを絞ってその遂行スピードをあげる、それだけで多くの問題は解決する。

自分の業務の本当の価値は何か、余計なこととは何か、やるべきことは何かを考え、行動し、部下や周りを動かすという点に絞って組織の問題を解決してみてはどうだろうか。そのような解決の実践の中でこそ本人も部下も育成される点は多いはずだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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