コンサルタントの本音

◆改善はマネージャーの仕事

2014年12月

かつて6シグマのコンサルテーションを行っていたためか、毎年「6シグマの研修はないのか」という問い合わせを受ける。以前ほどのブームではないものの、GEの成功事例を基に経営の基盤を構築するために6シグマの方法論を活用しようと経営者やマネージャーが思い立つことがあるようだ。

6シグマは、改善のプロセスとステップ毎のツールを体系化したものである。小さな部品や小さな業務ステップのミスはそれぞれの発生件数が少なくても、製品・サービスの構造が複雑化すると、全体の故障や不具合を起こす率が飛躍的に高まる。少なくともミスは6シグマレベルにしないと顧客に満足されないという意図で作られたプログラムである。アメリカのモトローラ社でスタートし、GE社で花開いた。よく吟味してみるとQC7つ道具や統計解析ソフトの有効活用など当たり前の内容のものが多いが、それを効果的に使いこなし、誰もが改善ができるように体系立てている。

GEの6シグマ活用が素晴らしいのは、「改善はマネージャーの仕事である」と明確に定義したことである。マネージャーに改善の方法論を体系的に学ばせ、マネージャーの仕事はオペレーションではなく、改善であることを意識させた。マネージャーの評価の対象は改善度となり、改善をしないマネージャーは取って代わられ、反対に成果を出したマネージャーはブラックベルトといった資格を持ち、昇格の条件となった。

日本では、過剰品質でコストが高いといった理由や、製造からサービスへの業務転換が図られたりしたため、品質向上活動は停滞し、そのノウハウは一部の機能領域に留まった。また、マネージャーの評価に改善が関わる指標が少なく、いかに稼ぐか、いかにオペレーションするかに集中し、その結果、コスト高の構造のまま経営がなされている。一方、海外では、6シグマを製造部門以外のあらゆる業務に展開し、改善を進め、品質やコストの競争力を高めた。

6シグマという手法に固執する必要はないが、マネージャーの仕事は、いかに質の高い業務を行い、質の高いアウトプットを出すかということである。問題解決がブームになりロジカルシンキングの研修なども盛んに行われたが、果たして本当に問題は解決されたのだろうか。毎年の改善や問題解決の積み重ねは企業の格差を助長する。皆さんの組織ではマネージャーは何をする人なのでしょうか。改善は誰の仕事なのでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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