コンサルタントの本音

◆研修で成果は出せるか

2014年1月

企業での研修は何のために行うのか?受講者からすれば能力の向上であり、それを通じた処遇や希望業務部署への配属といったことであろうか。会社からすれば何と言っても成果を出すことである。また個人の成長を大事にしているという考えを実践する場でもある。

ところが研修をやっても成果が出ていないと嘆く管理職や人事部門は多い。また個別の研修について成果をどのように評価すれば良いかしきりに考えている。企業での研修で成果が出るかどうかは受講前に決まる。上司が受講者する部下に対して何を期待して受講させるのかを説明し、受講後の業務やプロジェクトでの期待成果を明示することが重要だ。これなら業務の成果で判断できる。人事部が階層に合わせた研修を企画して個人と上司に通知するケースや個人で希望する研修を申込むケースが多い。これが形式化すると上司が研修受講の期待を伝えたり、研修後の成果を何で見るのかを話したりすることが省かれる。しかしそれで研修の効果を期待するほうが無理というものである。

成果は仕事の目的の明確さ、能力、そして動機の三つの関数である。能力だけを向上させるという研修では成果は上がりにくい。研修後に期待する成果が目的の明確さであるとすると、三つの要素の中で最も足りないと思われるのが動機である。

よく見られるのが、能力はスキル研修、動機はマインド研修と称して別々に実施するパターンである。マインド研修も一時的には動機づけになるだろうが、果たして成果は出るのだろうか。動機づけとして、事前に上司が受講する部下への期待や評価基準を明確にし、受講後に何を学び、成果にどう結び付けるのか対話できると素晴らしい。

ただし、研修の中にはそのあたりを補う内容になっているものもある。例えばいきなりマーケティングの講義をするのではなく、マーケティングの研修を通じてどのような成果を出したいのか、といった具体的な参加目的を考えさせたり、記憶に定着させるといったことから研修を始めたり、最後に何を学んだか、明日から何をし、どのような成果を出すのか、結果が出ると自分にとってどのようなうれしさがあるのかなどをイメージさせるプログラムを取り入れている研修である。コンテンツだけではなく学習のプロセスを重視する研修こそが、成果を出せる優れた研修と言えるのである。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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